ビットクラウド:我々はインターネットを分散化し、インターネットに革命を齎すだろう

Bitcloud: We Will Decentralise and Revolutionise the Internetの翻訳です。

 

 ビットクラウドの開発者を野心に乏しいと非難することのできる者は殆どいないかもしれない。ビットクラウドの小規模な開発者集団はインターネットを分散化したいと考えている。そして、もしかしたら我々が今日使用しているインターネットの基盤の多くを置き換えたいと思ってさえいるのかもしれない。
 それは並外れた目標であるし、それを完全に実現させるためには非常に多くの支援者が必要である。しかしながら、控えめに言ってもその構想はかなり面白い。ビットクラウドはデジタル通貨のやり取りを目的として計算機の処理能力を使用するのではなく、インターネットサービスの提供を目的としてデジタル通貨の仕組みに非常に良く似た方法を使用したいと思っている。
 暗号通貨を採掘する代わりに、ビットクラウドの採掘者(彼らをそう呼ぶとしたならば)は自身のハードウェア資源を他人の使用のために割り当てることになる。より具体的に言えば、採掘者はデータの記憶領域や計算能力やデータの転送機能を提供する。そして、採掘者には計算能力や記憶領域の提供量に応じて報酬が支払われることになる。

クラウドコイン及びプロセッサーの周期
 ビットクラウド白書によると、ビットクラウドの仕組みはクラウドコインと呼ばれるデジタル通貨によって支えられることになる。ビットコインやその他のデジタル通貨に対する殆ど全ての批評は、最初から備わっている価値がそれらには殆どないことを主要な論拠としているが、それはクラウドコインには当て嵌まらないのである。クラウドコインには同じ重量の金地金に等しい価値はないかもしれないが、採掘者によって提供される実際のサービスによって価値が担保されている。
 ビットクラウドネットワークはTorにおける秘匿サービスと同様の転送処理を用いることになるだろう。更には、接続されたノード以外がコインを生成することができないようにするために「計算能力の証明」という機構を用いることになるだろう。それによって、ネットワークを欺こうとする試みやネットワークをノード同士の無駄な接続で溢れさせようとする試みを阻止することができるだろう。結局のところ、採掘者が真のサービスを提供した場合にのみ真にコインを獲得することができることになるというのがこの仕組みである。
 採掘者がそれをするには、地下室で稼動する何台かのASIC装置と同等の規模では全く不十分であり、非常に大規模な設備が必要となるだろう。しかしながら、本格的な組織や企業にとってこの仕組みは魅力的であるかもしれない。たとえば、ある企業が十分な量の記憶領域と計算能力を有しているならば、その企業は仕事場が閉まっているときや設備が使用されていないときにそれらの記憶領域と計算能力を使ってネットワークに貢献することができるかもしれない。

成功までの長い道のり
 ビットクラウドは非常に興味深い構想ではあるものの、この構想の前進にはまだまだ沢山の作業が残されていることを開発者集団は認めている。プロトコルはまだ完成していないし、全てを上手く纏めるにはより多くの開発者が必要である。
 開発者集団の名前は依然として明かされていないし、BBCによると彼らは構想が始まったばかりの段階でしかないことを認めているという。開発者集団によって提案されているビットクラウドを用いたサービスとして、YouTubeを分散型にしたようなサービスがある。すなわち、従来の集中型の動画配信サービスを置き換えることができるかもしれないものである。記憶領域や計算能力の提供者はコンテンツ提供者と同様に一儲けすることができるようになるだろう。あるいは、広告配信によって二儲けすることができるかもしれない。
 現時点ではこれらは全て机上の空論である。この構想が実際に上手くいくのかは分からない。それでも技術好きは強い関心を抱くに違いない。技術産業がクラウドSaaSやその他サービスに重点的に取り組んでいることからも分かるように、このようなネットワークには明らかに需要がある。
 奇妙なことに思えるかもしれないが、環境保護主義者もこの構想を歓迎するのではないだろうか。これまで使われることのなかった設備がネットワークに貢献するために使われるかもしれないのであるから、効率性を劇的に向上させることになるだろう。更に言えば、このネットワークは信じられないほどに競争の激しいものになるかもしれない。何故なら、最新の設備を有し、最低の稼動費用しか掛からない参加者がより多くの利益を得ることになるからである。