Namecoin及び.bitドメインとは何か?

What are Namecoins and .bit domains?の翻訳です。

 

 あなたは恐らくNamecoinという名前のデジタル通貨を聞いたことがないのではないだろうか? NamecoinはBitcoinソースコードを元にして作られており、実際のところ、この2つの通貨は殆ど同一である。しかし、Bitcoinが誰によっても停止することのできない分散型の通貨であるのと同様に、Namecoinは分散型のドメイン名システム(DNS)、すなわち、ウェブにおけるURLの基盤を提供する。そして、分散型のDNSはインターネット検閲を防止することができる。

DNSとは何か?
 我々はよくブラウザや電子メールプログラムにcoindesk.comのような文字列からなるアドレスを入力しているが、インターネットはこのような文字列からなるアドレスを直接使って動作しているのではない。実際のところ、インターネットはIPアドレスと呼ばれる数値によって表現されるアドレスを使って動作している。それは我々が電話番号を使って電話するようなものである。ここで問題となるのは番号は覚えにくいということである。そこで、インターネットの利用をより容易なものとするため、インターネットの広範囲を網羅するアドレス帳が作られた。それがドメイン名システム(DNS)である。
 ブラウザにアドレスを入力すると、実際のところ、計算機やモバイル装置はDNSサーバに問い合わせを行っている。目的のサーバからデータを取得するためには、目的のサーバのIPアドレスを知る必要があるのである。たとえば、ブラウザにgoogle.comと入力すると、計算機はGoogleIPアドレスを知るためにDNSサーバに問い合わせを行い、DNSサーバは173.194.70.113のような数字を返す。
 ドメインの末尾の部分、たとえば、.comは最上位ドメインTLD)と呼ばれる。TLDドメイン名システムにおいて中心的な役割を果たす機関によって管理されている。たとえば、.comドメインは米国にあるICANNが管理している。このような機関は、登録機関として知られている独立した企業がドメイン名の注文を受け付け、顧客サービスを行うことを許可している。
 あるウェブサイトに対して不満があっても、そのウェブサイトの処遇に関して最終的な発言力があるのはTLDを管理している機関である。現実には、殆どの場合、弁護士や著作権者などは単にドメインの登録業者に連絡を行うだけであるが、機関から命令が下る可能性が潜在的に存在するという点は、検閲に苦しめられている集団にとって懸案事項に他ならない。

分散化はどのようにして役立つのか?
 分散型DNSの意味するところは、如何なる機関によっても所有されることのないTLDを作ることができるということと、DNSの索引表がP2Pシステムによって共有されるということである。我々一般人のために分散型DNS用に特別に作られたDNSサーバソフトウェアを無償で動かしてくれる者がいる限り、我々はいつでも分散型DNSによって管理されているドメインに接続することができる。そうなると最早機関は、物理的なサーバを没収する他に、P2PTLDの動作に影響を与えるような制限を課すことができなくなる。

暗号通貨と何の関係があるのか?
 ビットコインの仕組みはP2Pシステムを必要とする。P2Pシステムの参加者が一連の取引を継続的に検証しているため集中的な管理を必要としないのである。ビットコインプロトコルを改良して、この仕組みをDNSに直接適用した結果がNamecoin(NMC)と呼ばれるものである。最も重要なのは、ビットコインとは別の新しい起源ブロックが作成されたという点である。そのため、ビットコインとは別の完全に新しいブロック鎖が生成されることになる。このようにすることで、NamecoinとBitcoinが相互作用したり、互いに妨げ合ったりすることがないようにすることができる。次に重要なのは、Namecoinの開発者が別の新しいDNSが必要になる場合のことを考えて複数の種類の取引の型を用意したということである。2100万枚以上の貨幣が生成されることはないということと、暗号学的な問題が解かれて新しいブロックが生成される度に50枚の貨幣が生成されるということは、ビットコインと同様である。

.bitドメインを登録するためにNamecoinを使用する方法
 .bitドメインドメイン2.0と呼ばれている名前空間の最初で唯一のTLDである。新しいドメインを登録したり、既存のドメインを更新したりするのに必要な動作は、上述の新しい種類の取引を用いてNamecoinプロトコルに組み込まれている。
 Namecoinの取引には3種類のものがある。
  ・name_new・・・登録費用は0.01NMCである。この取引はドメイン固定費用の前注文を構成する。
  ・name_firstupdate・・・登録費用は0NMCである。この取引はドメインを登録し、ドメインを使ったウェブサイトを閲覧できる状態にする。
  ・name_update・・・登録費用は0NMCである。この取引はドメインの更新及び譲渡のために使用される。
 全てのNMCの取引には0.005NMCの手数料が課される。
 結局のところ、Namecoinシステムはドメインを使用したい者が自分でドメインを登録するという形態を取っているが、ドメインを登録するために利用することができる外部サービスも幾つか存在している。このようなサービスではBTC払いでドメイン登録の処理を依頼することができる。更には、ドメインの詳細の変更やドメインの自動更新を分かりやすいインターフェイスを使って行うことができる。
  ・http://register.dot-bit.org/
  ・Namecoin.com
  ・Dotbit.me

.bitドメインのウェブサイトを閲覧する方法
 Namecoin.comは少なくとも450のドメインを登録したと主張している。Bitcoin Contactのウェブサイトによると、全部で7万7000の登録された.bitドメインが存在する。それは良いとして、これらのドメインは標準のDNSの一部ではないため、単にブラウザにwikileaks.bitのようにドメインを入力しただけではウェブサイトを閲覧することができない。
 幸いにも、ブラウザにおけるDNS要求を正常に処理する代理ウェブサーバがある。更に閲覧を容易にするために、Namecoin.comを使用するFirefox及びChrome用の拡張機能がある。

NamecoinとBitcoinはどのようにして相互補完するのか?
 この2つのデジタル通貨が相互作用することはないが、実際のところ、これらは同一の種類の数学的な問題に依拠している訳である。そのため、Bitcoinを採掘するために使用することができる装置はNamecoinを採掘するためにも使用することができる。しかも、混合採掘と呼ばれる、採掘機器が暗号学的な問題に対する可能性のある解を発見した場合に、BitcoinとNamecoin両方のブロック鎖に問い合わせを行うように設定する方法もある。Dot-bitウィキではこの方法を当選確率を上げるために同一の券を使って2つの宝くじに参加する方法と表現している。

これはあなたにどのような影響を与えるのか?
 読者の99%は.bitドメインのウェブサイトやサービスを作成する必要がないだろう。しかし、諺にもあるように、情報は力である。そのため、.bitドメインのウェブサイトや電子メールアドレスに接続することができるということは重要である。
 この技術が他の技術と同様に濫用され得るというのは確かである。そうであるから、良い点悪い点を知るために.bitドメインのウェブサイトやサービスを閲覧することができなければならないのである。
 しかし、何より重要なのは、.bitドメインのウェブサイトを閲覧することができるということは、正当な意見を有する人々の口を封じようとする企てが成功しにくいということである。